「くら寿司問題」から考える消費者・企業・従業員の三角関係

投稿日 | 9月 8, 2010 | 5 Comments

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回転ずしの「くら寿司」チェーンを展開するくらコーポレーションが、内定辞退を強要するかのような研修を内定者向けに行ったとして、強い反感をかっている。

発端は、MBS毎日放送によるニュース「VOICE」による報道「内定辞退のウラに何があったのか」だ。

この報道によると、くらコーポレーションは、琵琶湖近くで行われた入社前合宿の場で、入社の準備までした内定者たちに入社の可否をかけた課題を課したのだという。課題に合格できなければ「入社する意志がない」ものとみなされ、内定辞退書を書くようにもとめられたようだ。損害賠償を一切しないとまで書かされたという。

その課題は「35秒以内に社訓を暗唱する」というもので、その難しさも話題になっている。課題のみならず、研修そのものの行われかたも悪質であったようだ。「タケルンバ卿日記」では「あれは『洗脳』なんですよ。企業の『研修』ではなくて。」と評されている。

「VOICE」によれば、内定辞退者の出た私立大学はすでに抗議を行ったとのこと。

「中四国地方の私立大学は『一連の行為は大変悪質で内定取り消しと同等だ』とコメント。 」

この報道を受けて、はてなブックマークやツイッターなどからは、ネットユーザーたちの怒りの声が巻き起こった。(参考リンク参照)

「くら寿司にははもう行かない。」

「なにこの異常な会社。もうくら寿司なんて食わない。」

■お客様は悪質なブラック企業が本当にお嫌いか

おそらくこの報道を受けて、くら寿司は相当数の顧客を失うだろうと思われる。このように企業による悪質行為は、報道によって露見することで、確かに企業に一定のダメージを与えるはずだ。

それは企業の従業員(今回の場合は「従業予定の内定者」だが)に対する悪質なふるまいを抑制する効果もあるだろう。

だが、実際のところ、十分な効果はあるだろうか。

客に対するサービスが良く、品質にある程度満足が行けば、その企業がどのように人材を扱っていようと、購入して売上に貢献してしまうのが私たち消費者ではないだろうか。

たとえ企業が労働者を軽んじ、その労働力を安く買い叩いていたとして、私たち消費者がそこに腹を立てる機会はあまりない。

むしろ、労働力が安く買い叩かれてそのぶんだけ消費者に還元されるとしたら、多くの消費者は、喜んでサービスを購入してしまうというのが実情だろう。

いままでブラック企業のレッテルを貼られた企業はいくつもある。従業員に対する悪質な待遇が報じられたことはなんどもある。

だが考えてみて欲しい。それらの企業は、従業員への悪質待遇について、客からの反感をかい、それによって倒産しただろうか。あるいは、客からの反感から反省し、従業員に対する処遇をまともに向上させただろうか。

答えはおそらく多くの場合「NO」だ。サービスへの好評は、従業員に対する悪質待遇への反感を上回る。

今回の場合はあまりに悪質な行為に思われるということで、多くのネットユーザーたちが怒りを表明していた。著者もそのひとりである。

だが、こうも考えた。これは氷山の一角ではないだろうか。悪質さの程度の差こそあれ、労働者に過剰な奉仕を求め、その奉仕の価値を軽んじる企業はどれだけ多いだろうか。そのことにわれわれ消費者はずいぶん無関心ではないか。

特にフードサービス業と小売業について、日常生活の中からこの傾向を強く感じる。

著者はフードサービス業でも小売業でもアルバイトとして従事したことがある。

そこではこのように感じた。企業が大切にしていない従業員を、私たち消費者もまた大切にしていない。消費者が大切にしていない従業員を、企業もまた大切にしていない。

どちらが先なのかは、判然としない。

三角関係では誰かが泣きを見るしかないのだろうか。

■アメリカでは接客サービス業が人気

以下のリストは、今年、アメリカのビジネス誌フォーチュンが発表した「最も働きたい企業100社(The 100 Best Companies to Work for)」から、フードサービス業と小売業だけを抜き出したものである。

5位 ナゲット・マーケット
14位 レクリエーショナル・イクイップメント
15位 ザッポス・ドット・コム
18位 ホール・フーズ・マーケット
36位 コンテイナー・ストア
41位 クイックトリップ
53位 ノードストロム
64位 ステュー・レオナルド
68位 メンズ・ウェアハウス
80位 ビルド・ア・ベア・ウォークショップ
86位 パブリックス・スーパーマーケッツ
93位 スターバックス・コーヒー

アメリカでは小売業とフードサービス業が就職先として人気であり、従業員の満足度も高い。日本との差はどこにあるのだろうか。

(久家雅博)

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(参考リンク)
[2010/09/01]「内定辞退のウラに何があったのか」

はてなブックマーク – [2010/09/01]「内定辞退のウラに何があったのか」

Togetter – 「くら寿司 内定辞退強要告発、VOICE取材 に関するまとめ」

100 Best Companies to Work For 2010: Full list – from FORTUNE

久家雅博
86年生まれの男色系男子、つまりゲイ。週に2,3日程度は新宿2丁目にいる。好きな漫画は「よつばと!」。好きな脚本家は木皿泉。
Blog「男色系男子」 http://masafiro1986.blogspot.com/
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Skype masafiro1986

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