都「非実在青少年」規制回答集から見えてくるもの
投稿日 | 4月 28, 2010 | 2 Comments
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子供の性行為を描くマンガ・アニメの規制や、携帯電話のフィルタリング解除手続き厳格化などを意図した青少年健全育成条例の改正を検討している東京都が、「『非実在青少年」とは何ですか?」「同人誌は規制の対象になるのですか?」などといった漫画やアニメの性描写規制に関する質問に対する見解をまとめた「質問回答集」を都のWebサイトに掲載し、話題になっている。全25項目の質問に対して、具体的・直接的な性的表現で答えるという異例の内容だ。
青少年健全育成条例改正案に関しては、当初、都は3月末の条例成立を目指していたが、ネットユーザーを中心にさまざまな議論が巻き起こった。法律家や漫画家なども拡大解釈の恐れを指摘し、表現の自由の観点から反対を表明。継続審議になったことは記憶に新しい。改正案について都に寄せられた意見は3月だけで1,153件。ひとつのテーマに1ヵ月で1,000件以上の意見が寄せられたのは、都が新銀行東京に400億円の追加出資を決定したことを受けた2008年3月以来のことだという。(画像はスクリーンキャプチャ)
「非実在青少年」の定義とは
今回の回答集では「非実在青少年」について、「明らかに18歳未満の青少年であると設定されているキャラクター」と定義。その一方で、「見た目が幼く見えたり、声が幼く聞こえたりするキャラクターであっても、『18歳以上』であると明確に設定されていたり、年齢や学年が不明であったりするものは、この『非実在青少年』に当たりません」と記述している。
その上で、
- 『ドラえもん』のしずかの入浴
- 『サザエさん』のワカメのパンチラ
- 『キューティーハニー』の如月ハニーの変身シーン
- 『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけがお尻を出すシーン
- 『ドラゴンボール』でブルマが裸になるシーン
- 『新世紀エヴァンゲリオン』レイやアスカのヌード
などは規制対象にはならないといちいち例示。ワカメのかぼちゃパンツは「チラ」ではないだろうという意見もあるが、それはともかくここまで具体的な解説は珍しい。
また、条例の目的についても、いわゆる「非実在青少年」を保護することにはなく、「それを見たり読んだりする、実在の(生きている)子供の、健全な成長が妨げられるのを 防ぐこと」にあると明言。「このような漫画などを子供に見せたくないというのは、親としてごく自然の感情であり、このような漫画などを子供に見せないの は、未熟な子供を守る大人としての責務であると考えています」と、法律を制定する立場を離れたかのような素朴な心情を吐露している。
「石原知事にがんばっていただきたい」という意見も
寄せられた意見の大部分が反対意見だったと言われていることについて、都の青少年・治安対策本部は、報道発表資料「青少年健全育成条例の改正案について」のなかで、「寄せられた意見について賛成・反対といった数のカウントはして」いないとしている。賛否の比率についての言及はなかった。
この資料を読むかぎり、「可能ならばコミックマーケットに代表される同人誌の規制にも踏み込んでいただきたい」「当たり前のように子供が書店で手に出来る現状に危惧しています」「私はおたくですが賛成です」など、好意的な意見が少なくないようだ。というかむしろ多い。
ちなみに、10年前に電車の中で見知らぬ女子高生から「露骨な性描写」の漫画を見せられたという変わった経験を嘆き、「このような世の中で良いのでしょうか。知事に東京から日本を変えて欲しいのです。マスコミは私などの意見を聞いてくれません。石原知事にがんばっていただきたい」とエールを送る女性の意見に対しては、「ご理解のほど、誠に有り難うございます。児童ポルノの存在は、被写体となっている青少年が現実に存在し、青少年の健全な育成の観点から放置することができないものであって、青少年を守るべき大人として、強い責任と自覚を持ってその根絶を図るべきものであります」と、あまりかみ合っていないような返答が添えられている。
ところであまり話題になってないようですが
青少年健全育成条例の陰に隠れる形で、インターネットカフェ利用に際しての本人確認を義務付けた規制条例が、3月31日、都議会で可決・成立しており、7月1日から施行される。利用者の住所、氏名、生年月日など、身分証明書で確認した個人情報を、ネットカフェに3年間保存するよう義務づけるという内容だ。警視庁によれば、ネットカフェでの本人確認を義務付けた条例は全国で初めてとなる。
本人確認のないネットカフェは不正アクセスや違法物品の売買など、犯罪の温床になっているという批判もあり、規制なしで済まされない問題だったことは確かであるが、「非実在青少年」というキーワードで大きな注目を集めた青少年健全育成条例改正案とは違い、反対を呼びかける大きな声も議論もほとんどないままに、あっさりと可決された印象だ。
「反対の声」に効果あり?
今回の都の一連の姿勢は、行政がマンガ・アニメ愛好者を「まとまりのある圧力団体」と認識していることのひとつのあらわれと見ることもできる。反対の声に、実際の効果があるということだ。
もっとも、事態はこれで収束したわけではない。継続審議となった改正案は6月に開かれる第2回定例都議会でさらに審議される。また、大阪府は26日、男性同士の恋愛を題材にした「ボーイズラブ(BL)」を扱った漫画が掲載されている雑誌を「有害図書」に指定し、18歳未満への販売や閲覧を禁止することを決定した。
政治が文化に対して枷をはめようとする動きは、規制される側があきらめるまで続くということなのかもしれない。
(関連URL)
青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集|東京都 http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm
「都への提言、要望等の状況」月例報告(3月分)/青少年健全育成条例の改正案について|東京都 http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2010/04/60k4q102.htm
東京都青少年・治安対策本部 東京都青少年の健全な育成に関する条例 新旧対照表(PDF) http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/08_joureikaisei/sinkyuutaisyou.pdf
(参考URL)
「有害」コミック問題を考える会 2010 : 青少年治安対策本部にアポなしで突撃してみた http://blog.livedoor.jp/ykmk2010/archives/51418597.html
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