「非モテ」って、モテないことを正当化してるだけかも!――非モテ的書評『非モテ!男性受難の時代』

投稿日 | 2月 8, 2011 | 5 Comments

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この記事では勝手ながら筆者、後実文人が、世の中の非モテにまつわる書籍についてその内容を紹介しながら、ちょっとした分析を加えてみようと思います。

記念すべき(いやシリーズされるかどうかはちと分からないのですが)初回は、そのタイトルでも分かる通り「非モテ」についての同時代的統計分析、社会調査を扱った一冊。『下流社会』『ファスト風土化する社会』などの話題作を著した三浦展氏の『非モテ!男性受難の時代』(2009年、文藝春秋発行、以下同書とする)であります。

タイトルからして強烈に非モテの雰囲気が漂う一冊、さてその内容はいかに?

■「モテ」は社会に影響を与える?

簡単に言うと、同書はモテるかモテないか、それを経済・社会格差の文脈で捉えなおした言説(物事にかかわる知識の束と構造の説明)です。

著者によれば、モテることが人脈の広さ、高収入の仕事への就職、人生の充実につながり、現代日本の若者が住む格差社会は、実はこのモテという要因によって色濃く階層づけられているのではないか、その果てに褶曲して表れたのが、2008年の秋葉原連続殺傷事件、江東区マンション女子大生殺害事件などの、非モテ男性による犯罪なのだ、ということです。両事件の被告が女性と付き合えないことを悲観してしまった理由を同書から引用すると、

「現在の日本社会は、「モテ」や「容姿」を重視する社会なのだ…顔が悪いから時代や社会に絶望しているのだ。少しでも容姿が悪い(と思っている)若い男は絶望する社会なのだ。言い換えれば、現代日本の若者にとっては、「モテ」と「容姿」こそが人生最大の問題なのであり、格差社会の根本に位置する問題なのである。」

■筆者の疑問に対する著者の見解

なるほどー、と膝を叩いてしまいたくなる勢いの言い方ですね。しかしここで読者はちょっと違和感を覚える。あれぇ、女子は? 非モテ女子はどうなの? え、モテとか容姿とか異性関係ではなくて、人間関係で悩んだり、モテても貧乏な人がいた場合はどうなるの? などなど。

これに対して、著者は経済状態に次ぐ重大課題としての非モテを、様々なデータで立証していきます。確かに、正社員で高給取りの男性のほうが、その反対の男性よりもてるのかもしれないし、そうだろうな、と私たちは容易に推測できてしまうでしょう。また、女性の社会的地位が向上してきて、パートナーの男性を選ぶというようなことも珍しくなくなってきた。女性優位になれば、経済的に不安定な男性はすぐにつまはじきにされるだろう、そして非正社員には非モテが多いのだ、非モテが格差社会の重要要因なのだ、というまとめもなされています。。

でも、どうなんでしょうね。そう一括りにできるものなのでしょうか。

■じゃあ、龍馬やチェ・ゲバラはどうなの?

昨年度の大河ドラマのメインキャラだった坂本龍馬って、女子にモテモテだったようですが、いつも幕府側に命を狙われていた。チェ・ゲバラだって同じでしたがモテた。二人とも,経済・社会的に安定していたでしょうか。

まぁこれは過去の例だとしても、顔が良いだけに女性をいいように利用して何件も結婚詐欺を働く例外的なケースもあります。これはモテなのでしょうか、非モテなのでしょうか。更に、今では某掲示板で市民権を得た非モテ女子にだって言い分はあるでしょう。女子だって非モテならつらいんだぞっていう。

何よりも著者の一番「?」な言説は、同書後半で「女性は性的にオープンになりすぎ、男が結婚したいと思える女性が減った」「盛りのついた雌猫のように男あさりをする始末」と述べているところ。どこぞのフェミニスト教授のお歴々が聞けば目を三角にして激怒するようなこう言うセリフ(詳しくは同書をお読みください)を、「私が思うに」という主観の留保つきで言ってしまうのは、いかがなものでしょうか。この部分が、同書のデータ分析の信憑性を失わせてしまいます。

■著者が最も言いたかったことは?

すなわち、同書は「非モテ」という言葉を、格差社会の文脈でこじつけて、意見調査などの表層的なデータ動態から辻褄を合わせ、最終的には「女性が男性を弱者にした」と言いたかったのではないか。そう解釈できてしまうのです。うむむ。

こうして何らかの知識により物事(この場合は非モテな人々)を分類・再構成・陳列することを経て自己の言いたいことの権威を形作る態度や言説は、勢い二項対立的な(モテと非モテの)垣根を作ってしまい、知的構造や知の制度(非モテという言葉の内容や周辺知識)が独善的になってしまいます。

■筆者の結論「都合のいい”非モテイズム”ではないか」

この「非モテというイメージを言説の中でいいように作り上げていくこと」を、有名な批評家サイードが編み出した言葉「オリエンタリズム」に倣って、「非モテイズム」とでも呼びましょうか。

非モテには、そして非モテとされる人々だって、もっと深い広がりと差異、例外、そして悩みがあるはずです。そのような具体的な文脈をもっと広く,しっかり把握しなければ、非モテの本質には迫れないのではないでしょうか。本書はそういった意味で、非モテという概念の曖昧さを逆照射する意味があるのかもしれません。

※画像:Amazon

(後実文人)

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(参考文献)
三浦展『非モテ!男性受難の時代』(2009年、文藝春秋)
本橋哲也『ポストコロニアリズム』(2005年、岩波書店)

後実 文人(ごみ ぶんと)
北海道札幌在住のアラサーフリーター。男性。某私立大人文学部卒。特技は英語そこそこ(TOEIC900以上、英検準一級)の他、多少の外国語。10代は非モテDQNバンドマンだったが20代で脱出。海外の英文恋愛関係記事要約のほか、人文書やサブカルの中から非モテの普遍性を探る記事を書くことが目標。色々な人に恩返ししていきたい人生まっしぐら。
Twitter  http://twitter.com/BuntoGomi


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