非モテ息子に代わり、病床から渾身の嫁探しをした母
投稿日 | 4月 30, 2011 | No Comments
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親は、いつもどんなときも子どもの幸せを願うものと、よくいわれています。今日は、その親が最後に願ったあることをご紹介したいと思います。
Aさん(56歳)は、東京都内に住むパート主婦です。ご主人を16年前に亡くし、以来長男のBさんを女手一つで育ててきました。そして、Bさんは就職し、Aさんを金銭面で支えるようになり、親子は平穏な毎日を送るようになりました。そんなAさんでしたが、ある日を堺に、少しずつ食事の量が減っていきました。単なる胃炎だろうと、あまり気に留める様子もなかったAさん。
Bさんに再三説得されるうちに病院に行くことにし、精密検査を受けました。そして、Bさんは病院に呼ばれ、主治医からあることを告げられます。Aさんは、末期の胃がんだったのです。
■Aさんが見初めた女性
Aさんは自宅から徒歩で十数分のところにある大学病院に入院し、治療を受けることになりました。病名は告げられておらず、胃潰瘍と思い込んでいたようです。入院生活が長くなるにつれ、Aさんはとある看護師Eさんをいたく気にいるようになります。
明るくて気さくで、一生懸命仕事に取り組むその姿に、
「いつかはBのお嫁さんに……。あの子は私から見てもモテるタイプじゃないから、なんとかしなくては」
と、思うようになったのです。
■母の渾身の演技
そうはいっても、Bさんはサラリーマンでしたから、限られた時間でしかお見舞いに来ることができず、BさんとEさんに接点はほとんどありませんでした。
そこで、Aさんは、Eさんの勤務日でBさんが面会に来ることになっている日にナースコールをしようと考えました。このころ、Aさんは状態が思わしくなく、褥そうのケアも行われるようになったといいます。それでも、Aさんは演技で
「ちょっと腰が痛いから来てくれないかしら」
と、ナースコールをしてEさんを呼びました。かくして、Aさん、Bさん、Eさんが顔を揃える機会が増えていったのです。
■おかあさん、私幸せになります!
Aさんの容態は徐々に悪くなっていきます。そして、ある日のこと。巡回に来たEさんに、
「ねえ、あなたは結婚って考えていらっしゃらないの?」
と意を決して質問します。すると
「まだ私は未熟ですから、一人前になったらその時に考えたいと思います」
といいました。実は、この時すでにEさんには意中の彼氏がいたのです。
その数週間後、Aさんの容態が悪化し、もってあと数日と宣告されたBさんは、ある決意を母親に告げることにしました。
「おふくろ、俺、結婚するよ」
そういうBさんの傍らには、なぜかEさんの姿がありました。
「え、これは一体……」
Bさんは話を続けます。
「俺、おふくろにこの話をしちゃうと安心しきってオヤジのところに行っちゃう気がして黙ってたんだ。ごめん。俺、こいつと幸せになるから。だから、それまで……」
Eさんはあふれる涙を抑えながら
「おかあさん、私幸せになります!」
と、はっきりAさんに言ったのです。その姿を見て安心したのかAさんはそのまま眠ってしまいました。
そして、意識が戻らぬまま、3日後に帰らぬ人となってしまうのです。
■ふたりの真相
Bさんが病院に呼び出された日の夜、強い雨が降っていたにもかかわらず、傘もささずに泣きながら歩いていた姿を、通りかかったEさんが見かけ、思わず声を掛けたのだそうです。
「どうしたんですか?風邪……引いちゃいますよ」
BさんはEさんの傘に入れてもらうと、二人でBさんの自宅の方に向かって歩き出しました。そして、Bさんは母親がもう長くはないこと、父親を早くに亡くし寂しい思いをしてきたことを話します。すると、Eさんは搾り出すように、
「私も、似たようなものなんです……」
といい、お互いに手を握り締め、声を上げて泣きました。
そして、偶然にもBさんの自宅とEさんのアパートが近所だったことから、程なくして交際が始まりました。そして、あのナースコール。母と息子、その彼女が揃ったのです。その時はたまらなく嬉しかったとEさんは振り返ります。その後、二人は結婚し、子どもにも恵まれ、幸せに暮らしています。
いかがでしたか、母親の子を思う気持ちが、奇跡的な瞬間を生んだのです。もし、あのナースコールがなかったら、息子の彼女の存在を知ることなく、息子のことを案じながら、逝くことになっていたかもしれません。後に、Eさんは病院を退職することになるのですが、その時病棟師長からナースコールの真相を聞かされます。そして、改めて幸せになると誓うのでした。
さて、私のつたない記事も、今回が最後となってしまいました。短い間でしたが、読者の皆さん本当にありがとうございました。また近いうちに会えるのを楽しみにしています。その時まで、さようなら。(宇野未悠)
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